在宅勤務に切り替わって最初の半年、自分は「通勤がなくなってラクになった」と思っていた。ところが気づけば、以前より疲れやすくなり、体が重く、夜もぐっすり眠れない。体重計に乗るのも怖くなった。
これは自分だけの話ではなかった。リモートワーク歴5年のいま振り返ると、あの「なんとなくの不調」は通勤という強制的な運動がなくなった代償だった。
このマニュアルでは、体のメンテから心の手入れ、食事のことまで、テレワーカーの健康を丸ごとカバーする方法をまとめた。全部やる必要はない。「これならできそう」と感じたものから1つ試してほしい。
テレワーカーが抱える健康リスク
動かなすぎ問題
オフィス勤務では通勤だけで1日4,000〜6,000歩は歩いていたと言われています。テレワークではそれが1,000歩以下になることも。歩数計を見て衝撃を受けた経験がある人も少なくないはず。
体を動かさないと筋力はどんどん落ちていきます。特に脚とお尻の筋肉は座りっぱなしで萎えやすく、「立ち上がるのがしんどい」「階段で息切れする」といったサインが出始める。
姿勢の崩壊問題
自宅のデスク環境はオフィスほど整っていないことが多いんです。ダイニングテーブルで仕事したり、ソファにノートPCを置いたり。姿勢がどんどん崩れて、猫背・巻き肩・ストレートネックのオンパレードになる。
メンタルのじわじわダメージ
テレワークの健康リスクは体だけではありません。人と会う機会が減って孤独感が募る、仕事とプライベートの境界がなくなる、常に「オン」の状態が続く。こうしたストレスがじわじわとメンタルに効いてきます。
体のメンテ編(肩こり・腰痛・運動不足)
肩こりメンテ:1時間に1回の切り替え
肩こりはテレワーカーの宿敵。対策はシンプルで、「固まる前にほぐす」こと。
肩すくめリリースが手軽。両肩をグーッと持ち上げて3秒→ストンと脱力。5回繰り返すだけで、じわ〜っと力が抜けていきます。
さらに余裕があれば、肩甲骨まわりも動かす。両手を肩に置いてひじで大きく円を描くようにぐるぐる回す。前回し5回、後ろ回し5回。肩甲骨がゴリゴリ動く感覚があればいい感じ。
肩甲骨と肩こりの関係は肩こりのメカニズムで詳しく解説しています。
腰痛メンテ:骨盤を動かす
座りっぱなしで腰が痛くなる一番の原因は骨盤が固まること。椅子に座ったまま骨盤を前後にゆっくり傾ける「骨盤ゆらし」を10回やるだけで、腰まわりがじんわりほぐれる。
立ち上がれるタイミングがあれば、お腹を伸ばすストレッチもプラス。両手を腰に当ててゆっくり後ろに反る。縮こまったお腹側の筋肉がグーッと伸びて気持ちいいんです。
骨盤まわりの動きについては骨盤ケアの基本も参照。
運動不足解消:「ついで運動」がいちばん続く
「運動しなきゃ」と構えるとハードルが上がる。「ついで」でいいんです。
- トイレに行くついでに、帰りにスクワットを5回
- コーヒーを淹れるのを待つ間に、かかと上げ20回
- 洗濯物を干しに行くとき、わざと遠回りして家の中をぐるっと1周
こうした「ついで運動」を積み重ねるだけで、1日の活動量がぐっと増える。
心のメンテ編(孤独感・ストレス・オンオフ切り替え)
孤独感対策:意識的に「人の声」を入れる
テレワークだと丸1日誰とも話さない日があります。チャットでやりとりはしていても、声を出していないと不思議と孤独感が募る。
1日1回は誰かと「声で」コミュニケーションする。オンライン会議がない日でも、チームメンバーに5分だけ雑談の電話をしてみたり、家族と一緒にランチを食べたり。声を出して笑うだけで、気持ちがふわっと軽くなる。
ストレス対策:体を動かすのが一番の近道
ストレスが溜まっているとき、体を動かすと嘘みたいにスッキリすることがあります。5分でいいので外に出て、空を見上げて深呼吸する。画面に向かい続けていた脳が切り替わる。
オンオフの切り替え:「儀式」を作る
テレワークで一番難しいのが仕事とプライベートの切り替え。同じ部屋で仕事もリラックスもするから、脳が混乱するのは当然。
解決策は「切り替えの儀式」を持つこと。
- 始業の儀式:コーヒーを淹れる→デスクライトをつける→軽いストレッチ
- 終業の儀式:PCを閉じる→デスクまわりを片づける→着替える
食事と水分補給
食事:「だいたいバランスよく」で十分
テレワーク中の食事はつい適当になりがち。完璧を目指す必要はない。ただ最低限これだけ意識する。
- 朝食を抜かない:バナナ1本+ヨーグルトでもOK。朝食は体内時計の同期に役立つ
- ランチは野菜を1品足す:コンビニ弁当にサラダを追加するだけでも違う
- 夜食・間食を食べるなら:スナック菓子よりもナッツや果物に
水分補給:1日1.5リットルを目安に
デスクワークだと喉が渇いている感覚がないので、つい水分補給を忘れがち。目安は1日1.5リットル。小さめのコップ(200ml)で8杯くらい。1時間にコップ1杯のペースでちびちび飲むのがコツ。
あえて小さいコップを使ってキッチンまで補充しに行くようにすると、水分補給と立ち上がるきっかけが一度に手に入る。
1日のセルフケアスケジュール例
7:00 起床
カーテンを開けて朝の光を浴びる。コップ1杯の水を飲む。
7:30 朝食
バナナ+ヨーグルト+コーヒーなど、軽くても何か口にします。
8:00 始業前の3分ストレッチ
肩すくめリリース→肩甲骨ぐるぐる→骨盤ゆらし。
10:00 水分補給 + 立ち上がる
コップ1杯の水。ついでにトイレまで歩く。余裕があればつま先上げ下げを10回。
12:00 ランチ
できれば画面から離れて食べる。野菜を1品プラス。食後に5分の散歩ができればベスト。
14:00 午後のリフレッシュ
眠気が来る時間帯。首ゆらしストレッチ+ふくらはぎポンプで巡りメンテ。窓を開けて深呼吸するのもいいかもしれません。
16:00 おやつ休憩
ナッツやフルーツを少しつまむ。水分補給も忘れずに。デスクの下で足首ぐるぐる。
18:00 終業の儀式
PCを閉じる。デスクまわりを片づける。着替える。
18:30 体をほぐすタイム
1日の疲れを取るストレッチ。全身を5分くらいかけてゆっくり伸ばす。
22:00 就寝準備
スマホを置いて、お気に入りの飲み物でリラックス。軽いストレッチをしながら、今日の自分に「おつかれさま」。
アオイ(からだカウンセラー)のひとこと
「テレワークの健康管理って、"体"と"心"と"生活習慣"の3つをバランスよく手入れすることが大事なんですよね。でも、全部いきなりやろうとしないでくださいね。まずは1つだけ。『1時間に1回立ち上がる』だけでも、体はちゃんと応えてくれますよ。」








