水曜日の16時。Slackの未読は87件、今日のZoom会議は5本目が終わったところ。ヘッドセットを外して椅子にもたれると、部屋がしんと静まり返っています。テレビもつけていない。窓の外は薄暮。ふと気づく。今日、声を出したのはミーティング中だけです。
在宅勤務を続けていると、こういう日が増えます。通勤していた頃は、電車に揺られたり同僚と雑談したりコンビニに寄り道したり。それだけで知らないうちに気分が切り替わっていました。リモートワークではその「ちょっとした切り替え」がごっそりなくなる。
伝えたいのは一つ。体を動かすことがストレス解消の最短ルートかもしれない、ということ。
在宅勤務特有のストレスの正体
「ストレスが溜まってるな」とぼんやり感じていても、何がストレスなのかハッキリしないことは多いんです。在宅勤務のストレスには、実はいくつかの「正体」があります。
孤独感:一人でいるのと、孤独は違う
一人の時間が好きな人でも、「選んだ一人」と「強いられた一人」は全然ちがう。在宅勤務だと、意図せず一日中誰とも顔を合わせない日が出てきます。Slackやチャットはあるけど、画面越しのコミュニケーションはどうしても温度が伝わりにくいんです。
ふとした瞬間に「あれ、今日わたし、声を出してないかも」と気づいたとき。それがじわじわとストレスになっています。
運動不足:体が動かないと、心も動かない
オフィスに通っていた頃は、駅まで歩いて、階段を上って、ランチに出て……と、意識しなくても1日5,000〜8,000歩くらい動いていました。でも在宅勤務だと、ひどい日は500歩以下なんてことも。
体を動かさないと、筋肉がこわばるだけじゃなく、気持ちもどんよりしやすくなる。「やる気が出ない」「なんとなくだるい」の原因が、実は「体を動かしていないだけ」というケースはすごく多いんです。
オンオフの境界消失:仕事が終わらない感覚
通勤がないのはラクだけど、そのぶん「仕事の終わり」がぼんやりしがち。リビングのテーブルで仕事して、同じ場所でごはんを食べて、同じ場所でテレビを見て……。気づいたら22時にメールを見ていた、なんてことはないだろうか。
「どこからが仕事で、どこからがプライベートか」がわからなくなると、脳がずーっと緊張状態のまま。これは地味にしんどいストレスだ。
体を動かすとストレスが和らぐ理由
「運動がストレスにいいらしい」とはよく聞くけど、なぜなのか。ちょっとだけ仕組みを知っておくと、体を動かすモチベーションになる。
体を動かすと気分がスッキリしたり、イライラが和らいだりする。軽い運動でも気持ちの切り替えにつながりますね。
しかも、特別なハードトレーニングは必要ない。ゆっくり伸びをしたり、軽く足踏みしたりするだけでもOK。3分くらいの軽い動きでも、体はちゃんと応えてくれます。
もうひとつ大事なのが「意識の切り替え」。仕事でイライラしているとき、頭の中はグルグルと同じことを考え続けているはず。そこで体を動かすと、意識が「体の感覚」のほうに移る。肩がゴリゴリ鳴る感覚、息がハァハァする感覚、じわ〜っと伸びる感覚。その間だけ、頭の中のグルグルが止まる。この切り替えがとても大きいのかも。
イライラしたときの3分エクササイズ
会議でモヤッとしたとき。タスクが山積みで焦っているとき。「もう無理!」と叫びたくなったとき。そんなときこそ、この3分エクササイズを試してみてください。全部やっても3分。1つだけでも大丈夫だ。
① 肩グルグル回し(30秒)
両手を肩に置いて、ひじで大きな円を描くように回す。前回し5回、後ろ回し5回。イライラしているとき、肩はギュッと上がって力が入っています。それをグルグル回して「力を抜いていいんだよ」と体に教えてあげる感覚だ。肩甲骨がゴリゴリ動く感覚は、ちょっとクセになる。
② 全身伸び〜(30秒)
椅子から立ち上がって、両手をバンザイ。天井に向かってグーッと伸びる。つま先立ちになって、指先をできるだけ遠くへ。3秒キープしたら、フッと脱力。3回繰り返す。
縮こまった体がパーッと広がって、深い息が入ってきます。伸びるときに「ふぁ〜」と声を出すとさらにスッキリする。一人の在宅勤務だからこそ、遠慮なく声出せるはず。
③ その場足踏み(1分)
その場で足踏みをする。太ももを高く上げて、腕もしっかり振って。最初はゆっくり、だんだんスピードアップ。1分間やると、じんわり体が温かくなって、心拍数がちょっと上がる。
ポイントは「ちょっと息が上がるくらい」までやること。デスクワークで固まった全身の巡りがよくなって、頭もシャキッとする。
④ 深呼吸ストレッチ(1分)
椅子に座ったまま、両手を膝の上に置く。鼻からゆっくり4秒吸って、口からフーッと8秒かけて吐く。吸うときに胸を開いて、吐くときに軽く前かがみになると、呼吸がもっと深くなる。
4〜5回繰り返すだけ。「落ち着け落ち着け」と頭で思うよりも、呼吸で体を落ち着かせるほうがずっと速い。イライラのボルテージがスーッと下がっていくのを感じてみてください。
気分転換のミニルーティン(5パターン)
「ストレス解消のために運動!」と構えなくても大丈夫。日常の中にちょこっと挟めるミニルーティンを5つ紹介する。気分や状況に合わせて、好きなものを選んでみてみてください。
パターン1:窓際スタンディング(2分)
パソコンから離れて、窓のそばに立つだけ。外の景色をぼんやり眺めながら、首をゆっくり回したり、肩を上下に動かしたり。「画面から目を離す+立つ+外を見る」のトリプルコンボで、かなりリフレッシュできます。
パターン2:お茶タイムストレッチ(3分)
お茶やコーヒーを淹れるついでに、キッチンでストレッチ。お湯を沸かしている間に、ふくらはぎをグッと伸ばしたり、腰をひねったり。「ながらストレッチ」なら、わざわざ時間を取る必要もなし。
パターン3:音楽1曲ダンス(3〜4分)
好きな曲を1曲かけて、自由に体を動かす。ダンスとかカッコよくなくて全然OK。手を振ったり、体をゆすったり、リズムに乗ってステップ踏んだり。一人だから恥ずかしくないし、終わったあとのスッキリ感がすごい。
パターン4:ベランダ深呼吸(1分)
ベランダや玄関先に出て、外の空気を吸うだけ。室内の空気と外の空気は全然ちがうはずです。冬はひんやり、夏はむわっとするけど、その「ちがい」が脳の切り替えスイッチになる。大きく3回深呼吸したら、それだけで気分が変わります。
パターン5:階段往復(2分)
マンションやアパートなら、階段を1〜2往復するだけでも立派な運動になる。外に出かける気力がなくても、建物の中の階段なら着替えなくてOK。太ももにじわっと効いて、ちょっとした達成感も味わえる。
ストレスを溜めない在宅勤務の工夫
体を動かすことに加えて、在宅勤務そのものの環境を整えることも大切です。ストレスを溜めにくい「仕組み」を作っておくと、毎日がだいぶラクになる。
仕事スペースと生活スペースを分ける
物理的に「ここは仕事の場所」「ここはくつろぐ場所」を分けるだけで、オンオフの切り替えがスムーズになる。狭い部屋でも、パーテーションを1枚置くとか、仕事のときだけデスクライトをつけるとか、小さな区切りでも十分です。
タイマーで休憩を強制する
「キリがいいところで休もう」と思っていると、永遠に休めない。ポモドーロ・テクニック(25分作業+5分休憩)みたいに、タイマーで強制的に休憩を入れるのがおすすめだ。5分休憩のときにさっきの3分エクササイズをやれば、一石二鳥です。
終業儀式を作る
在宅勤務だと「仕事終わり」がなんとなく過ぎてしまいがち。だから、自分だけの「終業儀式」を作ってみてください。パソコンを閉じたらストレッチする。着替える。散歩に出る。なんでもいいかもしれません。「これをやったら仕事は終わり」という合図があると、脳がオフモードに切り替わりやすくなる。
意識的に「声を出す機会」を作る
一日中黙っていると、想像以上にメンタルに響く。オンラインミーティング以外にも、電話で話す、独り言を言う、歌うなど、声を出す機会を意識的に作ってみてください。
アソビスイッチを活用する
ストレスが溜まったときに「何をすればいいかわからない」が一番つらいんですよね。アソビスイッチのエクササイズカードなら、カードを引くだけで今やるべき動きが決まる。迷う時間ゼロ。考えなくていいから、ストレスが溜まっているときでもサッと始められます。
アオイ(からだカウンセラー)のひとこと
「ストレスを感じているとき、人は呼吸が浅くなっています。だから、まずは"息を吐く"ことから始めてみてください。フーッと長く吐くだけで、体の力がふわっと抜けていきます。動くのがしんどいときは、深呼吸だけでも大丈夫。自分を追い詰めないのが、一番のストレスケアですよ。」









